
Etsuhaのモンハン日記と夜叉丸のネタ日記 by yaksaboy
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[モン]ヘタレ剣士ETSUHAの日記_010-B-I
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■第10話 B-Part-I■
『New Power』
~(選択)~●あらすじ● 村に帰ったヘタレ剣士ETSUHAを待っていたのは老獪な村長が用意した奇天烈新人Kannoeだった! 村長からの命令でミナガルデ型城塞都市"ルーキー"にやってきた二人。ETSUHAとKannoeは別行動を取る事になった。 しかし街に残ったETSUHAは、突如現れた雄火竜"リオレウス"の群れに襲われ、無資格ハンターたちとともに臨時衛兵隊として対抗るも半壊。 そんな時、突如全身を漆黒の装備に包んだハンターが加勢。あっと言う間に苦戦していたリオレウスを屠ってしまった。
二つの選択肢があった。
見過ごすか
見過ごさないか
ウチは‥‥私は、前者を選んだ。選び、そして自分の考えがいかに甘かったかを思い知らされた。意志の実現には力が要る。それも精神力や行動力といった概念的なものでなく、もっと直接的で、目の前の敵を屠る"力"が。
だから私は、力を欲した。
その為なら規律を犯しても構わないと思うぐらいに――。
真新しい金属と革の匂い。全身を隈無く包む装備の感触は、たまらなく心地よかった。一種違う自分に生まれ変わった気分すらする。 ‥‥少なくとももう二度と、遅れは取らない。 部屋の片隅に脱ぎ捨てた緑色の外套とひしゃげた甲冑を一蔑し、我知らず歯噛みしていた。薬液に浸し包帯を巻いた左腕がずくんと疼く。痛み止めで痛覚が鈍っていても、その疼きだけははっきりと知覚できた。
扉を開け、路地に降り立つ。 周囲には私と同じ、漆黒の甲冑を身に纏った集団がひしめいていた。整然と居並んだ黒ずくめの集団。"黒のハンターズ"、と彼らは名乗った。
「どうかな、その装備の具合は」
楽しげに声を掛けてきたのは、そんな黒のハンター達を率いる初老の男性だった。黒地に金糸で縁取りをした意匠はハンター達の装備と揃えられているが、彼はハンターではない。
「‥‥いいですね。飛竜の素材で作った物より軽いですし‥‥音も鳴らない」
そう言って実際に目の前に手をかざし、指を幾度か開いたり閉じたりして見せる。軽いとは言え分厚い漆黒の甲冑具足は、しかしほとんど耳障りな音を立てなかった。鎧の継ぎ目も驚く程滑らかに動く。 私のそんな感想に、初老の男性はひどく嬉しそうに顔を綻ばせた。
「そうだろう。狩猟する装備ともなれば、隠密性は高くなくては意味がないからね。で、防具はいいとして武器の方なんだが‥‥」
少し言い置いて、彼は傍らに目配せする。見計らったようなタイミングで背後にかしずいていた側近らしきハンターが進み出、手にしていた長大な包みを恭しく私に向かって差し出した。 この長さ。重量感。 喉がカラカラに干涸らびていた。震える手で差し出された包みの紗(うすぎぬ)を解いていくと‥‥。
心臓が弾けそうになった。
期待に鼓動が早鐘を撃ち始める。
あの路地裏で私を飛竜の火焔から救った巨大な漆黒と類似系の、だがそれより遥かに直線的な板状の大剣。
「稀に発掘される太古の対龍大剣"エピタフプレート"をベースに切れ味に特化した重量武器として開発した試作品でね。私は"オベリスクプレート"と呼んでいる」 「‥‥あの男‥‥隊長が使っていたのは?」
私はその剣、"オベリスクプレート"の柄を握って軽く持ち上げてみた。重量は確かにあるが、軽い。重心や柄の長さとのバランスからいって、大剣としては取り回し易い部類に入るだろう。 初老の男性は少し残念そうに眉をひそめると、しかしその逡巡もたちどころに消して説明してくれた。
「あれも試作品の一つだ。ただ、余りに重量が有りすぎてね。"彼"以外に使いこなせる人間がいないから、あれ一振りしか作ってない。名は――」
――"アポカリプス・プレート"。
それがあの、大剣とすら呼べない程巨大な剣の名だった。
幾つもの試作品を造り、研究の為に発掘された墓碑のようなエピタフプレートに囲まれ幾月も過ごす内に、一人の天才鍛冶工が取り憑かれたように鍛え上げた逸品。 天啓だったと、鍛冶工は言った。 それ故に、"啓示"という名を与えられたと言う。
それを背負った巨躯の男は、集団の端の方に一人佇んでいた。 目が合う。
きっと私はその時、笑っていたのだと思う。 自分でも覚えていない。 ただ、手の中のオベリスクプレートと、全身を包む黒合金の甲冑がひどく気持ちを昂ぶらせていた。
だからあの初老の男性が発した問にも、迷う事無く答えたんだろう。
「で、どうかな。この黒のライセンスを‥‥受け取ってもらえるだろうか」
そう。 "是"、と。
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■第10話■
『Dawn for power』
~(力を求めて)~●あらすじ● 村長からの命令でミナガルデ型城塞都市"ルーキー"にやってきた二人。 ETSUHAとKannoeは別行動を取る事になった。 Kannoeは酒場で出会ったパーティと共に初めての狩りを満喫し、ETSUHAは久々の休みに戸惑う中、突如現れた雄火竜"リオレウス"の群れに襲われる。 副ギルドマスターにハンター用武具の使用を許可されなかった無資格ハンターたちは臨時衛兵隊としてリオレウスに対抗すべく立ち上がるが、圧倒的な力の差を前にしてあっと言う間に半壊してしまう。
或る者は怒りから。
或る者は絶望から。
自らの自らに因る、その身を救う為の"力"を渇望する。
それぞれの夜明けと共に、それぞれの物語が始まる。
A-Part『~Kannoe篇~』
B-Part『~ETSUHA篇~』
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■第10話A-Part-II■
『Wivern』
~(強敵)~●あらすじ● 村に帰ったヘタレ剣士ETSUHAを待っていたのは老獪な村長が用意した奇天烈新人Kannoeだった! 村長からの命令でミナガルデ型城塞都市"ルーキー"にやってきた二人。 一人での狩り初日、酒場でうまくパーティに拾われたKannoeは見事毒怪鳥"ゲリョス"の討伐始めとするクエスト群に成功。ビギナーズラックでレアアイテムを次々手に入れ、狩りは絶好調に達しようとしていた。 しかし、その最終日。雌火竜"リオレイア"を狩りに出かけた一行は奇妙な状況に遭遇する。
毒二足小竜"イーオス"の死体。荒らされたリオレイアの卵と巣。
それはアタシたちの狩りに不穏な影を落としていた。 リーダーの提案でレイアの立ち寄りそうな3番エリアの水庭へ移動する事になったものの、巣で受けた「奇妙さ」が胸につっかえてるのは取り去れなかった。それは多分、みんなそうだったんだろう。昨日はあんなにはしゃいでいた初めてのクエストとは打って変わって、重苦しい空気がパーティに流れていた。
カンノエ 「‥‥ねー、コレでいなかったらどうする?」 リーダー 「そうね‥‥3番エリア"水庭"にも6番エリア"飛竜の巣"にもいないなら、多分1・2番エリアを巡回してるんだろうけど‥‥どうせ追いかけてもまた入れ違いになるかもしれないし‥‥。 それぐらいなら、水庭で降りてくるのを待ちましょ。それと巣の方も見張っておきたいから、二手に分かれてって感じでどうかな」
この提案にはみんな賛成だった。 後はどういう組み合わせで分かれるか、だけどこれは攻撃の要になる大剣使いの2人が重ならないようにって理由と、あんちゃんが 「これ以上ウロウロするなんてメンドーで出来るかっ!」 って言い出した事もあって付き合いの長いリーダーが一緒に残る形で自然に決まった。 ・ ・ ・
そして結局、水庭に着いてもそこにはやっぱり、レイアの姿はなかった。
あんちゃん 「しょーがねぇな~。腹減ったしモス狩って肉でも焼くか!」 リンカ 「あ、私も肉切れてるんだ‥‥」 カンノエ 「それじゃ巣に戻る前に"吹き抜け"で肉焼いて行こっか!」
アタシの言った"吹き抜け"って言うのは、8番エリア"滝壺の洞窟吹き抜け"の事で、草食竜"アプトノス"が沢山水草を食べに集まっている場所の事だ。アタシもナギ村から密林フィールドで狩りをする時は必ずここで生肉を補充する事にしてる。
あんちゃん 「肉狩りに没頭してレイア見逃したりすんなよー?」 カンノエ 「しないよ~!」
そんな事を言い合い、アタシたちはリーダーたちに別れを告げて来た道を戻る事になった。
水庭を出てすぐの7番エリアで少しだけ下から断崖の上の巣を伺ってみる。 この7番エリアは西側に断崖がそびえていて、その上に6番エリア"飛竜の巣"がある。で、北側に抜けるとさっきいた3番エリア"水庭"。そして南へ川沿いに下り、洞窟を通って滝壺まで降りると一旦洞窟の天井が吹き抜けになった8番エリア"滝壺の洞窟吹き抜け"に出た後、その先はまた洞窟の奥までずっと続いている‥‥って感じで、この密林フィールドで一番沢山の分岐が集まる場所になっていた。
‥‥巣の方が騒がしくなっている様子は、下からは伺えなかった。アタシは後ろからついてくるリンカに頷いて見せた。
そのまま下り道の洞窟を手探りで南下して行くと、やがて唐突に明るくなり、8番エリア"滝壺の洞窟吹き抜け"が――。
カンノエ 「!!」
思わず、アタシはその光景に脚が竦んでしまった。すぐ後ろまでついていたリンカが反応しきれずに追突し、アタシたち2人は濡れた洞窟の床に連れ立ってすっ転んだ。
リンカ 「あいたぁ‥っ! どしたのカンノエちゃん‥!」 カンノエ 「リンカ、シッ! あれ‥‥!!」
アタシはもつれあった体勢のまま、眼前の光景にある物を指さして見せた。リンカの視線が徐々にアタシの指先をたどり、やがて彼女の息を呑む音が聞こえた。
カンノエ・リンカ 「リオレイア‥‥!!」
そう。 そこにいたのは、アタシたちが探していた狩りの標的・雌火竜"リオレイア"だった。
レイアはまだこちらには気づかず、ゆっくり羽を休めているように見えた。
‥‥どうする?
リオレイアは大物の飛竜‥‥。2人で狩れる‥‥かな。アタシは震える手で、後ろ手にデスパライズの柄を握りしめた。 大丈夫、なハズ‥‥だけど。 しばらく悩んだ後、アタシはリンカを振り返って、小声で囁いた。
カンノエ 「‥‥リンカ、アタシが突っ込んでまずペイントボールをぶつける。その間に狼煙上げて」
リンカは頷くと、バックパックから発煙筒の射出装置を用意し始める。 2人でもいける‥‥とは、思う。 でも逃がさずに確実に仕留めるには、4人全員が揃った方がいい。
エツハ 『カンノエ、アンタ突進しすぎ。飛び込んでく勇気も必要だけど、後先顧みないで突っ込むだけじゃ猪のブルファンゴと変わんないぞ? いい? ハンターってのは狩りを成功させる為に、知略も、体術も、技量も。全て利用してようやくあのデカブツと対等に戦えるんだ。 アタマだけでも、力だけでも駄目。狩りの為に、万全を尽くすのがハンターなんだ』
エツハさんもそう言ってた。
自分に自信がない訳じゃ、ない。 ‥‥そのハズだ。
カンノエ 「‥‥行こう!」 振り切るようにアタシたちは洞窟から駆け出した。 浅い水を蹴捌き、気取られないように、静かに駆ける。
まだ。 まだ大丈夫。
まだ‥‥。
ポンッ!
リンカの単発式発射筒から、煙を噴いて発煙筒が高々と打ち上げられる。
リオレイアが、振り返った。
頭の中でエツハさんの声が響く。
エツハ 『カンノエッ! 行けッッ!!』
背中を押されるように全力で駆け、まだ呆然としているレイアの顔めがけてペイントボールを投げつけた。
強烈な臭いを発する液体をかぶり、翡翠色の鱗に身を包んだ巨竜が‥‥怒りの咆哮を上げた。
カンノエ 「‥‥来いッ!」
負けるもんか。 アタシは凄まじいプレッシャーを放つ琥珀色の瞳を睨み返した。
雌火竜の最大の特徴は、陸戦を特徴とする好戦性。 空中に逃げる事なく、その牙と爪を以て敵を引きちぎる事を好む、飛竜の女戦士。それだけに次の瞬間アタシが取ったのは、レイアの正面から飛び退く事だった。
あの大きな顎で噛みつかれる、と思った。 だけど実際には大きく顎を開いたレイアの体が、膨れあがるようにして全身でぶつかって来たのだった。
‥‥自分の10倍近くも質量のある巨体が、自分めがけて迫り来る恐怖は、怪鳥"イャンクック"の比じゃなかった。突進を避けるので精一杯で、気がついた時には緑色の巨体はエリアの端まで水煙を立てて駆け去っていた。
巻き込まれたらランポスメイルごとあの巨体で、圧し潰される。
それは、恐怖を伴った実感として今、アタシの体に刻み込まれていた。
‥‥怖い。
でも行かなきゃ、依頼がこなせない。
アタシは立ち上がってリオレイアの背中に向かい駆け出そうとして‥‥だけどまたこちらに向かって突進の気配を見せるレイアから横飛びに逃げなければいけなかった。
正面に立てない。 斬りかかれれば。せめてこのデスパライズで刃を突き立てられさえすれば。
そんなアタシの期待は、あっさりと叶えられた。 何度目かの突進を終えたリオレイアの巨体が、すぐそばの洞窟の壁に突っ込んで止まったのだ。
行ける!!
カンノエ 「たああっっ!」
アタシは鞘からデスパライズを引き抜くと、藻掻いて立ち上がろうとするレイアの翼膜に刃を突き立てた。 今の内にダメージを稼がないと!!
アタシは今までのタイムロスを取り返すべく右腕を奮いまくった。 力一杯、目の前の緑色の巨体を切り刻む。
だけどどんなに斬っても、まるで痛みを感じないかのようにレイアは巨大な体を揺るがせて立ち上がり――
ゴンッ!!
呼吸が止まって――視界が真っ黒に染まる。
‥‥?
何、が。
軽々と横向きに吹き飛ばされ、落ち着いた目で見えた物は、先端が鎚のように膨れあがった飛竜の尻尾だった。 尻尾と言っても、太さは人間の胴より一回り以上も太い。レイアはその先端を鞭のように空を切って振るって見せた。
‥‥アレ、かぁ‥‥。
歯を食いしばって立ち上がる。尻尾で後頭部を殴られたせいかちょっとクラッとしたけど、またこっちにレイアが突進する挙動を見せたので構わず走り出そうとして‥‥間に合わない!? 脚がもつれる‥‥今ので? うそっ、今直撃食らったら‥‥。
リンカ 「カンノエちゃんっ!」 カンノエ 「!」
声がした途端、体がスゴイ力で持ち上げられた。見る間に地面から脚が離れ、後ろ向きに宙に放り投げられる。高々と放り投げられたアタシの頭の下を、翼を広げて突進するリオレイアの巨体が駆け抜けていった。
カンノエ 「リンカッ!!」
大剣を盾に構えたリンカに、容赦なくリオレイアは覆い被さるようにして頭から突っ込んだ。踏ん張ったリンカごと、緑色の巨大な影は滝壺から続く川へと突き進んでいく。
凄まじい水飛沫が上がり、覆い被さった緑色の巨体にリンカの姿がかき消された。
カンノエ 「リンカーーーーッッ!!」
レイアの巨体が藻掻く。 リンカは?
そう思った矢先、レイアの向こうに蒼い大剣の切っ先が掲げられる。鋭いモンスターの牙を並べて作られたリンカの蛇剣【蛇蝎】だ。
巨大な大剣が振るわれる度、レイアの周囲に真っ赤な血飛沫が舞う。
いや、それだけじゃなかった。
ドンッ! ドンッ!!
重く響く砲撃音と共に、そのレイアの背の甲殻に黄色い炸薬の煙が揚がる。
カンノエ 「リーダー!?」 リーダー 「ボサッとしないで突っ込んで!! バックアップはこっちでやるから!!!」
言う間に洞窟の入り口からあんちゃんが大剣の柄に手をかけながら駆け出し、アタシの横を掠めてレイアに突進していく。
あんちゃん 「待たせたなぁっ!! 俺様が来たからにはもう好き勝手はさせねーぞっっ!!」
気合い一閃、全速力で突進した勢いを利用しての切り下ろしが、あのアタシを殴りつけたレイアの尻尾を見事に切り落とした。
リオレイアの怒りと痛みを訴える悲痛な叫びがエリアに木霊する。
だがそれは、アタシたちチームに、闘志を呼び込む鬨の声になった。
あんちゃん 「来やがれトカゲ野郎!!」 リーダー 「レイアは雌っ!!」
挑発と訂正のツッコミを入れながらも、あんちゃんは的確に動きを止めたリオレイアの翼や脚に大剣で斬りつけ、リーダーは移動しながらあんちゃんの攻撃の隙をフォローする。アタシとリンカも隙を見つけては攻撃の輪に参加するんだけれど、その度に旋回する巨大な丸太のような尻尾で薙ぎ払われてしまう。その度に支給された応急薬や薬草が減っていった。 一方あんちゃんとリーダーは明らかに敵の動きを読んでいて、無駄な攻撃はできるだけ避けてるみたいだった。
これが素人と、経験者の違いなんだ‥‥。
半ば呆然と、半ば感嘆としてその姿を見つめていたアタシは、不意にリーダーの怒鳴り声に我に返った。
リーダー 「カンノエちゃんもボサッとしてないで隙見つけたら飛び込んで! 回復とフォローは私がする!!」 カンノエ 「う‥‥は、はい!」
答えて飛び込んだ瞬間、リオレイアは大きく上体を反らし――。
ギャアアアアアアアアッッ!!
とんでもない、絶叫に近い咆哮だった。 意表を突かれて身が竦んだ次の瞬間、またレイアの巨体が大きく動きアタシは軽々と、川の浅瀬へと弾き飛ばされた。
盛大に、水飛沫が上がった。 痛い。
痛い。痛い。痛い。 視界がぐらぐら揺れる。傷口が燃えるように熱い。 起きあがったアタシの視線の遥か先で、リーダーやあんちゃんたちがレイアを落とし穴に落とそうと誘い込んでいるのが見える。 ‥‥行かなきゃ。 アタシも、行かなきゃ。 でも行ってどうする? また痛い思いをするの? アタシが行ったって何も変わらないかもしれないのに。 こんな剣じゃ‥‥。 グガァアアアアアアアッッ!!
もう一度聞こえてきた絶叫は、レイアの断末魔の叫びだった。 アタシは俯いたまま、リーダーに治療して貰うまでずっと、立ち上がる事も出来ずにいた。
‥‥エツハさんなら、どうしただろう。
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■第10話 A-Part-I■
『Trouble』
~(異変)~●あらすじ● 村に帰ったヘタレ剣士ETSUHAを待っていたのは老獪な村長が用意した奇天烈新人Kannoeだった! 村長からの命令でミナガルデ型城塞都市"ルーキー"にやってきた二人。 一人での狩り初日、酒場でうまくパーティに拾われたKannoeは見事毒怪鳥"ゲリョス"の討伐始めとするクエスト群に成功。ビギナーズラックでレアアイテムを次々手に入れ、狩りは絶好調に達しようとしていた。
これでまた少しお金も素材も入ったし、まだまだ狩るぞーっ!!(≧∇≦)ノシ
Kannoe 「マル‥‥っと」
いつものように冊子に今日あった出来事を書き終えて、アタシは大きく体を伸ばした。最近は書かなきゃいけない事だらけ、こうして日記をつける時間も長くなってる。よくまあ自分でもこんな座りっぱなしのコトが続くもんだー、と大アクビしながら思う。
青年ハンター1 「そんな熱心によく日記なんか書けるなー! 感心するよホント」
横から声をかけたのは、このパーティで一番年長の男の人だった。名前は‥‥えーと‥‥どーも人の名前覚えるの苦手なんだよね‥‥。とりあえずこういう時は「あんちゃん」って呼んでおけば納得してくれる。 アクビで出た涙を擦ってみんなの方を向く。みんな思い思いに夜を過ごしていて、テントの中はランプの灯りにピッタリのなごんだ空気が広がっている。
とりあえずみんなを紹介しておこうかな。 毛布をかぶって早くも寝てるのが、リーダー。アタシより年上のお姉さんだけど、狩り場の知識とか武器の使い方はすごくよく知ってる。狩りのプランを立てるのも彼女が率先してやってくれるのでアタシたちは楽ちんだ。 って言っても誰かがリーダーに指名したわけでも、彼女が立候補したわけでもなくって、彼女がワイワイやってるアタシたちを手招きして色々教えてくれたり指示してくれたりしたのがバッチリみんなの呼吸に合ったんで自然と彼女がリーダーになっちゃったって感じ。
そう。リーダー以外はアタシも含めて、すごいド初心者ハンターだったんだ。
まずあんちゃん。 彼はとにかく、全身雄火竜"リオレウス"の素材で作った武具・防具で身を固めてるせいで目立つ! どーも本人もそれが気に入ってるらしいんだけどねー。大剣もリオレウスから作る炎剣"リオレウス"で揃えちゃって。 でもよく目立とうとして一人で突っ込んではリーダーに怒られてるんだよねー‥‥あんちゃん、ちょと困った子です。
最後は‥‥リンカ! うん、この娘だけは名前覚えたぞ♪ アタシと同い年で、やっぱり村から仮ライセンス出してもらったばっかりなんだって。リンカもあんちゃんと同じ大剣使いなんだけど、なんか‥‥こう‥‥たぁ~って斬りかかってもヨロヨロッてなっちゃう感じ。 村では村長さんにランスを習ってたんで勝手が違うんだって。スゴイよねー。アタシなんかまだ片手剣だけで精一杯なのにねー。
ともあれ、この4人でパーティを組んで、アタシたちはこの2日間ずっと狩りをして来たんだ。‥‥何だか夢見たいな時間だったなぁ。
あんちゃん 「ま、ともあれ明日は念願の強敵・雌火竜"リオレイア"だからな~。 明日なんかもっと書く事増えるんじゃないか!? つーか俺の事はカッコよく書けよ、カッコよく!!」 リンカ 「死なないように頑張るから私の事も書いてねー」 Kannoe 「んー、アタシまだ火竜狩った事ないんだー。楽しみ~!」 リーダー 「‥‥うるさいよぅ」
まだまだ眠りたくない。明日が楽しみで大人しく寝てなんかいられない気分。 だけど、そういう時こそ寝なくちゃいけないんだよね‥‥アタシたちは寝返りを打ったリーダーに遠慮してランプを消すと、もそもそと毛布をひっかぶって横になった。 一瞬だけ角の生えたエツハさんの顔が脳裏に浮かんだ。 ‥‥エツハさんだったら、きっとはしゃいでるアタシたちを殴ってでも寝かせてたんだろうなぁ。
‥‥んにゃ‥‥締め落としてでも‥‥(゚Д゚;)?
‥‥‥‥それとも鈍器で昏倒させてでも‥‥(゚Д゚;)?
それとも‥‥‥‥それとも‥‥もしかしたら‥‥‥‥((((゚Д゚;))))ガクガクブルブル 。
そんな事をあれこれ考えてる内に、アタシはいつの間にかグッスリ眠りに就いていた。
・ ・ ・
翌朝、アタシたちはキャンプで装備を整えてから、念願の大物飛竜狩りに出発した。
場所はもうルーキーも程近い密林フィールド。
作戦はこうだ。巣で身体を休めている雌火竜"リオレイア"を奇襲で狩り立て、追い回した後で傷ついた身体を休めようと巣に戻る習性を利用して罠にかける。 リーダー曰く、常套手段らしい。
若干名 「目立たないじゃんか!」 という反論もあったんだけど、リーダーが 「大トリの落とし穴まで注意を惹きつけて誘い込む役が危険な上に難しくて‥‥」 と深刻そうに呟いたのがやる気をかき立てたのかキャンプを出てからテンションが上がりっぱなし。リンカやアタシに絡んで来るのが鬱陶しいと言えば鬱陶しい。
そんな不安さが顔に出てたのか、細身の眼鏡をかけたリーダーの静かな瞳が一瞬アタシを見た後涼やかに微笑んだ。
リーダー 「‥‥大丈夫。落とし穴の上で待機して、突進して来た所を『正面から叩き伏せて穴に落としてね』、って言ってあるから」
‥‥アタシの知る限り突進は全飛竜共通の致死攻撃で、生半可な攻撃じゃ止めるどころか巻き込まれてミンチになるような気がするんだけど‥‥。
更に不安になったアタシの肩を、リーダーは少しテキトーにポンポンと叩く。
リーダー 「‥‥だから大丈夫。ぶつかった瞬間吹っ飛ぶかもしれないけど、その時点でレイアは落とし穴に落ちるから。致命傷だけは避けられると思うの」
そう言ってヒラヒラ手を振りながら、こちらは雌火竜"リオレイア"の素材で作った防具とライトボウガンを担いで森へと歩いて行く。
‥‥色んな人がいるなぁ(゚Д゚;)
・ ・ ・
ともあれ、作戦は開始された。
キャンプから鬱蒼と草木の生い茂る2番エリアを抜けて洞窟へ。そしてそれを抜けると、高台に作った火竜の夫婦の巣が見えてくる。 アタシたちは一気に飛びだして‥‥一瞬、呆然と立ちつくした。
そこには望んでいた雌火竜"リオレイア"の姿はなかった。でもそれはそんなに問題じゃなかった。問題だったのは、周囲には累々と二足毒小竜"イーオス"たちの無惨な死体が散乱しているって事の方だ。
ETSUHA 『イーオスやランポスみたいな二足小竜と飛竜は、生活圏が非常に近しいからよく一緒にいるところを見る事もある。 でもヤツらは元々が好戦的で肉食だから、別に共存してるワケじゃない。だから平気で互いを巻き込んで乱戦になるんだ。 覚えときな、カンノエ。連中が一緒の場面に出くわしたら、場所を変えるか‥‥さもなきゃ小さい方から狩るんだ。数にもよるけど‥‥互いに殺し合う乱戦になると逆に思いもしないタイミングで変な連携や波状攻撃になったりするからね』 そうだ。そのつもりだったからこそ、予定ではレイアがいなかったら、その間に巣にたむろするイーオスを片付けよう、って事になってたんだ。
あんちゃん 「なーんでー、わざわざ気張って走ってくる必要なかったな」
そう言ってつまらなさそうに倒れたイーオスの死体を摘み上げては奇妙な歓声を挙げる。
リーダー 「‥‥巣もグチャグチャ‥‥マズイわね」
リーダーが様子を見ていたのは、巣の中でも高台に誂えられた枯れ草と枝で出来た卵用のベッドだった。だがそこにはやはり、イーオスたちと同じように中身がぶちまけられ散乱した卵の残骸が残るばかり。リーダー少し深刻に舌打ちするのが聞こえた。
リーダー 「私たちがやったんじゃないって事が証明できないと、ギルドから処罰があるかも‥‥」 Kannoe・リンカ 『ええっ!?』
リーダーが言うには、火竜夫婦・雄火竜"リオレウス"と雌火竜"リオレイア"は非常に好戦的で残忍。敵対行動を取った者に容赦しない苛烈さを持ち合わせていて、運搬クエストで飛竜の卵を失敬しなきゃいけない時なんか相当気を付けなければいけないんだそうだ。
そしてその卵が全滅した場合や巣が潰された場合など、時として彼らは縄張りを離れ人里を襲い報復する事があるんだとか。
ひょっとすると今回もそれに当てはまるかもしれない、とリーダーは言った。
あんちゃん 「って事はコッチもそいつらの仕業って事か。じゃ俺らの1つ前の組じゃないの?」
しかし相変わらず脳天気そうな声で、あんちゃんは言い、また1匹のイーオスだったモノの頸部を摘み上げた。そして今度はそれを、アタシたちに見えるように目の高さまで持ち上げたまま近づいてきた。
って
Kannoe 「うわあぁあ! ヘンなモン持って来るな~っ!」 あんちゃん 「ヘン‥‥ってそりゃないだろカンノエ~! ホラ見ろよコレだよコレ」 Kannoe 「ぎゃああ近づくな~~っ!!」 リンカ 「ゴメンあんちゃん、カンノエちゃんうるさいから近づかないで~」 あんちゃん 「うわっ、リンカさりげにキッツイ!?」
リーダー 「静かに!
‥‥で、それがどうかしたの? ただのイーオスの首でしょう?」
アタシたちの馬鹿騒ぎを一蹴すると、リーダーは改めてあんちゃんに訊ねた。 あんちゃんはふと真顔に戻ると、手にぶら下げたままの首の切断面を指さしてみせる。
あんちゃん 「確かにまあ、別にちょっと力持ちなヤツならイーオスぐらいは倒せるだろうけどさ。こう見事に一刀両断出来る武器と腕力って相当なもんだと思うよ? 一般的には。 それに――」
あんちゃんはそう言うと首を元あった他のイーオスの部品の群れに投げ込んだ。 そして今度は、それら部品全体を指さして。
あんちゃん 「――全部違う武器で殺されてるみたいなんだよね」 戻る このシリーズの一覧に戻る モンスターハンター日記一覧へ戻る
■第9話 B-Part-II■
『Darkness』
~(暗黒)~●あらすじ● kannoeにライセンスを渡し新弟子・kannoeと別行動になったETSUHAが見たものは、ルーキーの上空を飛び交う雄火竜"リオレウス"の一群の姿だった!!
一方ギルドカウンターの留守を任された副ギルドマスターにハンター用武具の使用を許可されなかった無資格ハンターたちは衛兵隊と交渉し、臨時衛兵隊としてリオレウスに対抗すべく立ち上がった。
酒場を飛び出すと、ウチ達が体勢を整えるまでのたった数刻で、街の破壊は目を覆いたくなる程に深刻な状況になっていた。 誰も口に出してこそ怒りはしなかったが、押し殺した決意が、同じ緑に染め抜かれた外套を通して伝播していくのが感じられた。
臨時衛兵隊・隊長 「それじゃあみんな、手筈通りに頼む。 なぁに、今までの狩りと変わりゃしない‥‥俺達の手で、ルーキーの街を守るんだ‥‥!!」
臨時衛兵小隊は一丸となって広場を駆け抜けると、小隊長に任命された男――酒場でウチらに声をかけたあの男だ――の合図で更に3人ずつの班に分かれて街中へ散って行った。
――待ってな、リオレウスども‥‥!
・ ・ ・
石畳の路地を抜け、物陰から物陰へ。ウチが率いる事になった臨時衛兵小隊・第3班はルーキーの中央に位置する、住宅区に入っていた。
ハンター達が酒場に持ち寄っていた情報をかき集めた結果、ここが一番被害が少なかったからだ。 第3班員・少女 「‥‥どうかしたんですか、エツハさん?」
ウチがちらりと背後に視線をやると、不意に付き従っていた2人の班員の片割れと目が合ってしまった。途端に少しばかり心細そうだった表情が、急に花が咲いたように綻ぶ。
ETSUHA 「いや‥‥緊張してないかな、と思ってね」 第3班員・少女 「やだな、大丈夫ですよ! ‥‥え、いや‥‥ホントはちょっと。ホントにちょっとですよ? 緊張してるかも」
そう言って、舌を出しながら笑う。思わず釣られて目尻が下がるような、可憐な女の子だった。 もう1人の少年もそうだ。彼の方がずっと蒼白な顔色で入れ込んでいるようだけど、時折唇を噛んで震えを止めようとする姿は、まだまだ少女同様あどけない。
これが、理由だった。 集まった無資格ハンターの中で上位3人の経験と実力があるからこそ、まだ仮資格も持たないこの子達の監督を任されたのだ。
――カンノエと同い年ぐらい‥‥かな。
不意に、脳裏にアイツの脳天気な顔が浮かんで来た。どうにもアイツが絡むと緊張とか、緊迫といった言葉からは縁遠くなるような‥‥狩りは無事に行ってるのかな。
いや、行ってる筈、だ。 今頃"ヴァイパーバイト"ぐらい、造ってるかもしれない。
気を取り直して、ウチは手甲をした手で少女の頭をポンポン、と叩いてやった。
ETSUHA 「‥‥大丈夫。ウチだって、初めて飛竜を狩った時は緊張したんだから。 でもウチの師匠筋に当たる人がちゃんとフォローしてくれたからね。ちゃんと獲物も仕留められた」 第3班員・少女 「エツハさんがその時狩ったのって‥‥?」 ETSUHA 「"リオレウス"さ。今と同じだね」
だから大丈夫、と続けて微笑んでおいて、ウチはそっと彼女たちから目を逸らした。
――‥‥相変わらず、下手な嘘だなぁ。
師匠に聞かれたら笑われるかもしれない。どうせつくなら、もっとデカい嘘にしとけ!‥‥とか何とか。 でもいいんだ、これで。少なくとも今ので、2人の表情に明るさが戻ってきた。それだけで十分。
――出来ればこの子たちには、こんな過酷な状況で初陣なんか切らせずに済めばいいんだけど、ね。
しかし、ウチの幽かな祈りは、あっさり神様に却下されたらしい。
細い路地を選んで駆けてきたウチらは、後1つ角を曲がれば大通り、という所で急停止する事になった。
ETSUHA 「!! 2人とも止まれ!‥‥静かに」
胃の腑から下が氷のギロチンで切り落とされるような、喪失感に似た悪寒。頭で考えるより先に身を伏せ、壁際に寄せていた。
第3班員・少年 「‥‥血のにおいだ」
そう。真新しい血と、それに炭が燃えるような焦げ臭いにおい。
そして。
バキッ‥‥ゴリン、ブチュッ
聞き慣れた低いうなり声と、巨大な顎が骨ごと肉を咀嚼する音。
いつもの光景‥‥な筈だ。ここが町中でなく、アレが無力な元・人間でないとすれば。 信心深ければ神に祈りを捧げるんだろうけど、生憎そんな真似事は10年近くご無沙汰してる。 唾を呑んで残酷な想像に耐えるしかない。
と。
第3班員・少女 「うぁぁぁあああああっっ!!」
絶叫が聞こえた。
続いて、ライトボウガンが火を噴く。
大通りで翼を休めていたリオレウスが振り向き、自分に向かって駆けてくる緑色の小柄な少女の姿に向かって唸る。
ETSUHA 「バカッ! 何してんの早く戻――」
ゴガァアアアアッッ!!
一瞬で全ての音が掻き消えた。まさに『魂消る(たまげる)』という形容に相応しい、巨体に宿る力そのものが体現したかのような、咆哮。
声が届かなかった。反射的にリオレウスの巨体が肺一杯に空気を吸う挙動が見えた時点で耳を塞ぐのが精一杯で。 次の瞬間には大通り一杯に翼を広げ、猛烈な筋力を以て紅の津波と化したヤツの突進が全てを圧し潰し、削り取っていた。
悲鳴のひの字もない。
数瞬前まで確かにそこに立っていた筈の、笑顔の愛らしい少女の姿は。
土煙が次第に晴れ、ヤツが再び立ち上がってこちらを振り向いても。
血と肉とを残して、跡形もなくなっていた。
第3班員・少年 「う‥‥あ‥‥お前‥‥お前ェえええええッッ!!」
ウチが正気に返ったのは、少年が激昂した瞬間だった。ヘヴィボウガンを構え、怒りに顔を染め。躊躇無くウチはその頬に握り締めた拳を叩きつけていた。 反応する事すら出来ずヘヴィボウガンも取り落として吹っ飛ぶのを、今度は立ち上がる隙も与えずに駆け寄ってその腰を引っ掴む。ウチは脱兎の如く路地裏に向けて駆け出した。
第3班員・少年 「お、下ろせっ!! 殺してやるっ! 殺してやるーッッ!!」
駆けながら、腕から逃れようともがく少年に顔を引っ掻かれたので、腹部を思い切り締め付け抵抗がなくなった所で肩に担いだ。この方がまだ速く走れる。脇目も振らず、ウチは駆けた。
ゴガァアアアアッッ!!
背後から、身の竦む咆哮が轟く。 迷ってる暇はない。ウチは石畳を砕きながら追走してくるリオレウスの巨体をかわして薄暗い路地裏へと文字通り飛び込んだ。
少年の身を気にしている余裕はなかった。 何としてでも自分より先にリオレウスの射程から逃がしてやる。 彼を肩から投げ出した次の瞬間、続いて宙に飛んだウチの体は、それより遥かに強大な力で横薙ぎに吹っ飛ばされた。爪先が勢いよく空に向かって跳ね上がり、天地が目まぐるしく入れ替わる。 受け身どころじゃなかった。堅い物に激突して呼吸が止まっても、それが床なのか壁なのかさえわからない。
――‥‥でも、何とか生きてる。
腹部を強打して止まった呼吸を何とか整え、暗転しそうになる意識を頭を振って止めながら、ウチは少年の頬を引っぱたいて叩き起こした。 苦しげに息をついて瞬きする少年の襟を更に掴んで無理矢理立たせ、突き飛ばすように路地裏を奥へ奥へと歩かせた。
だがそれも、すぐに終わった。
ETSUHA 「くそ‥‥行き止まりか‥‥」
周りは煉瓦と塗り固められた壁。人が二人並んで歩けばそれで一杯になりそうな幅しかないからリオレウスがあの巨体をねじ込んで来る事はないだろうけど、出来れば一歩でも遠くこの区画を脱出したかった。
第3班員・少年 「何で‥‥何で」 ETSUHA 「戦わせてくれなかったかって? 勝算がないからよ」 第3班員・少年 「やってみなきゃわかんないでしょう!! イーナの仇を!!」
少年の歯を食いしばった面に激情からか涙がぼろぼろと零れ落ちる。
――‥‥イーナ、って言ったのか。
うっかりしてた。彼に言われるまで名前も聞いてなかったんだ。
ETSUHA 「‥‥アンタをイーナみたいな目に遇わせる訳にはいかないんだよ」 第3班員・少年 「俺は!! イーナとずっと一緒だったんだ!!! 仇が討てるなら、死んでも構わないんだよ!!」
ウチの胸ぐらを掴んで詰め寄る少年の怒りは、痛い程伝わってくる。まるで体の芯にマグマでも宿しているかのように、彼の泥だらけになった拳からは焼け付く熱気が感じられた。 でも。だからこそ。
ウチは彼を一旦突き飛ばして壁際に追いやると、有無を言わせないだけの殺気を込め、その襟首をもう一度握り返した。
ETSUHA 「イーナの仇を取りたいってのがアンタの目的なら、易々と死ぬなんて言うな‥‥!! 今またさっきみたいに突っ込んでも、紙くずみたいに八つ裂きにされて終・わ・り・だ!!!
‥‥準備が要る。それこそ目的を成し遂げたいなら、どんな手を使ってでも、勝つ為に最善を尽くすのがハンターだ‥‥!!」
そうだ。
ウチはそう、幾人もの先輩ハンター達に教わって来た。
だからウチに出来る事は、そうやって目的を達成させられるという事を身を以て体験させてやる事ぐらいしかない。
――でなきゃ、いきなり幼なじみを目の前で失ったこの子がこの狩りに身を投じた意味なんて‥‥。
第3班員・少年 「は、班長!!」 ETSUHA 「!」
少年の声で、ウチは振り向き様に背負った両手持ちの長剣を抜き放った。むき出しの土の地面に切っ先を深く突き立て、剣の峰に肩を添えて全身で来たるべき圧力に備える。
準備が整うか整わないか。
煮えたぎる灼熱の火球が、長剣にぶち当たった。
ETSUHA 「ぐうっ!!」
長剣が一気に灼け、爆ぜ飛んだ火球の衝撃に全身が軋む。 何とか耐え凌ぎ酸素を求めて顔を上げた目に飛び込んで来たのは、路地の向こう。大通りからこちらを睨み再び灼熱を吐こうとするリオレウスのシルエットだった。
――1発‥‥2発‥‥‥‥3、4発‥‥ッ。
断続して襲い来る猛烈な炎熱の打撃は、あっと言う間にウチの体力を奪い尽くした。 手甲も甲冑の肩甲も度重なる火球を受けて徐々にひしゃげ、柄にやった右手はもう添えているだけで限界。 膝が震える。兜の面頬を下ろしても喉が熱気でやられズキズキと痛んだ。
もう何度目になるかわからない衝撃が襲う。
長剣が嫌な軋みを挙げた。ずっとウチと少年を庇い続けた鋼鉄の確かな重みが歪む。
――もう保たない。
こんな所で‥‥。
長剣の飾り穴の向こうで、リオレウスが低く唸っている。 しぶといな、と悪態をついているように見えた。
くそう。
ウチの剣があれば。
ウチの鎧があれば。
まだ数分なら、振り絞って戦うぐらいの力はあるのに。
ここが逃げ場のない路地じゃなかったら。
後ろにこの子を抱えてなかったら。
――たら。
――れば。
ウチは負け犬だった。 詰まれたチェスを打つ惨めな負け犬。後数手で、完全な敗北を待つだけの。
くそう。
後数手で訪れる完全な敗北。
――死。
ETSUHA 「――――ッッッ!!!」
何かがウチを突き動かした。
突き刺していた長剣を引き抜き、盾として構えたまま路地の出口に。今まさに火球を放とうとするリオレウスの顎に向かって、突進していた。
――1発‥‥!!
わずかに火球と射線軸をズラして衝撃をいなす。 足をもつれさせながら、それでもほとんどの衝撃が横の壁とウチ自身で立ち消えたのを感じつつ更に前へ。
――2発‥‥!!
切っ先を地面に、柄の先を壁に押しつけながら、半ば背負った長剣で受けるように火球を跳ね上げる。 砕けた煉瓦や屋根板の破片をくぐり抜けて前へ。
後数歩で間合いに入る!!!
雄叫びを挙げる力すら惜しみ、一層の力を込めて駆けた。
――3発‥‥ッ!!
そして――。
その瞬間、ウチの手の中で。
幾度もウチと少年を庇い続けてきた鋼鉄の長剣は、真っ二つに折れ飛んだのだった。
正面から防ぎきれなかった火球の爆発を受けたウチの身体も、必死で駆けた距離の半分程まで、無様に弾き飛ばされた。
決起を誓った緑の外套も、鋼鉄製の鎧兜も、熱と衝撃でねじ曲がりひしゃげ、歪み、砕けた。
ズタボロのようなウチだけが、
ひんやりとしたむき出しの土の地面に横たわるだけ。
勝利を高らかに叫ぶようなリオレウスの咆哮が路地中に轟き渡った。
翼をはためかせ、今度こそその存在を灰にせしめんと開かれた顎が真っ赤な炎を吐きだし――。
ウチの視界は真っ暗に閉ざされた。
暗い‥‥。
終わり‥‥?
死ぬんだ‥‥。
――守れなかったなぁ‥‥。
(狩りの為に万全を尽くすのがハンター。その紙屑のような装備こそが、万全でない証だったな)
そう‥‥かもしれない。
結局、あの酒場で男の口車に乗ったウチらは、義憤と恐怖で飛び出して行った少年少女と何も変わらない。
やりきれずに怒りに駆られ、火に飛び込んで行く羽虫のように。
(剣が欲しいか? 奴らの甲殻を断ち斬り、命を根絶する事の出来る剣が)
――欲しい。
(鎧が欲しいか! 奴らの炎を遮り、牙も爪も通さない鎧が欲しいか)
――欲しい‥‥!
男 「ならば取れ!!
貴様の目の前にあるのは何だ!?」
急に死にかけていた意識が覚醒した。 根絶されていた音という音が津波のように押し寄せ、緩やかに停止しようとしていたウチの全てが息を吹き返す。
視界が暗い。
だがそれは意識が飲み込まれようとしてたあの暗黒のせいじゃなかった。
ゴガァアアアアッッ!!
身の毛のよだつような咆哮と共に凄まじい衝撃音が轟いた。
だがそれはこの暗黒に阻まれて、火の粉1つこちらには届かない。
迷っている暇はなかった。
ウチは何かに吸い込まれるように立ち上がると、視界を閉ざしていた物の上部へ手を伸ばした。暗黒から延びる、柄の部分に。
――巨きい。
渾身の力を込めて、暗黒を引き揚げる。同時にまた、リオレウスの咆哮が轟いた。
再び、衝撃音。柄を握った手と暗黒に触れた肩から、分厚い鋼を揺るがす鐘のような音色と振動が伝わって来る。だがその火は、ウチにまで届かずに消える。
ただ皮肉にもその衝撃によって暗黒は地面から解放され、宙へと跳ね上がった。
路地の入り口から挿す光が目を灼く。舞い散る火の粉と焦げ臭いにおいが吹き込んで来る。
そしてその向こうに、大きく顎を開いたままのヤツの――雄火竜"リオレウス"の貌(かお)があった。
ウチの瞳と、ヤツのターキッシュブルーの瞳が交錯した。
ブツンッ
ウチの中で、何かが切れた。
ETSUHA 「いやぁあああああッッ!!」
刹那、全身全霊を以て暗黒をヤツの顎に叩きつけていた。 背後に流れていた切っ先を、捻転を使って摺り上げる形で跳ね上げる。
確かな手応えと共に今まで怒りと闘志の怒号だけを放ち続けていたリオレウスの真っ赤に裂けた口から、耳を衝く絶叫が迸った。
――ざまぁ見ろ‥‥っ!!
痛快な気分で笑いながら、しかしそれがウチの限界だった。 握り締めていた手から力が抜け、凄まじい重量と遠心力のかかった暗黒は高々と宙に舞う。
大通りに降り注ぐ陽光を受けて、暗黒は鈍い輝きを放って舞った。
何て巨きいんだろう。
ハンター用の大剣でも、あそこまで巨大な物は類を見ない。まるで分厚い鋼板の周囲に辛うじて刃になる形に切り抜いただけというような、圧倒的な質量の塊。
落ちてくる。
こっちに。
力は使い果たして、もう立ち上がる気力も、飛び退いてあの暗黒から身をかわす余力も残っていなかった。
――せめてアイツのトドメぐらいは刺しときたかったんだけど‥‥。
一矢報いただけでも、良しとするかな‥‥。
そう、心中に呟こうとした時だった。
男 「欲のない奴だな。どうせならルーキーからあの薄汚い飛竜共を一掃するまでは死ねない、ぐらいの事は言わんのか?」
――この声!
再び漆黒の闇に抱き留められた、と思った瞬間、頭上まで回転しながら落下してきていたあの暗黒の塊がガッシリと宙で停止した。
男 「まあいい。貴様等は此処で休んでいろ。 後は我ら"黒のハンター"が狩ってやる!!」
力強い大きな声が口にした通り、ウチの目の前には全身黒の武具で身を固めた、一種異様な出で立ちのハンターが立っていた。
不思議な事に、飛竜を象った奇妙な材質の甲冑に身を包んだ巨躯のハンターの放つ圧倒的な存在感は。
消え入りかけていたウチの目に、ひどく快く映っていた。
暗黒の巨剣を繰る、漆黒のハンター。
それがまるで、今ウチの最も欲しいものそのものに見えたからかもしれない。
――暗黒と漆黒が象徴する、"力"というものに。
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■第9話 B-Part-I■
『No license hunters』
~(決起)~●あらすじ● 村に帰ったヘタレ剣士ETSUHAを待っていたのは老獪な村長が用意した奇天烈新人Kannoeだった! 村長からの命令でミナガルデ型城塞都市"ルーキー"にやってきた二人。 kannoeにライセンスを渡し予想外の休暇になったETSUHAはルーキーを見て廻るが、紅黒龍のもたらした影響はぬぐい去れていない。 暗澹とした気持ちでいたETSUHAの目に飛び込んできたのはしかし、ルーキーの上空を飛び交う雄火竜"リオレウス"の一群の姿だった!!
耳鳴りが戻ってきた。
頭を打って気絶していたらしい。一瞬自分が壁にもたれかかっているように感じたが、体を起こそうとして頭側に倒れて初めて、自分が広場の石畳に横たわっていた事に気付いた。一瞬天地が入れ替わって眩暈を覚える。
‥‥無様だなあ。幾ら唐突だったとは言え‥‥。
今度こそ二本の足で立ち上がり、ウチは改めてルーキーの惨状を目の当たりにした。
悲鳴と怒号、罵声。聞き慣れたリオレウスの咆哮も、翼の羽撃たく力強い音も、街の日常に在ってみれば恐ろしく現実離れした奇異な物に映る。 だがそれだけに、街は彼らによって蹂躙されていた。
緑色の外套を纏った一団が隊列を成して市街区に駆けていく。ルーキーを与る西シュレイド王国南蛮警護団の衛兵隊だ。 広場の端の展望台では別の衛兵隊が、低空を旋回滑空するリオレウスに固定大砲から砲撃を浴びせていた。だがこれはそもそもが陸上を移動するモンスターの群れに対して設置された物で、空中から飛竜の集団に襲われる事を想定しての兵装ではない。あっさりと風を受けて上昇したリオレウスにかわされ、砲弾は虚しく空を切った。
‥‥これじゃダメだ。
飛竜には、飛竜に対する戦い方がある。
駆けつけて加勢したい衝動に駆られたが、思いとどまった。 自分の姿を見直してみる。 動きやすい袖無しの上着と麻のパンツに、革紐を寄り合わせたベルト。それだけだ。心強いいつもの武装は全てホテルの部屋に置いてあるし、広場から見えるホテルのある一画はリオレウス数頭が群がって衛兵隊と交戦している。とてもじゃないが生身のまま駆けつけて通り抜けられるとは、思えなかった。
まずは、ギルドに行こう‥‥!!
ウチは拳を握り締めて、広場をギルドカウンターのある『旅立ち亭』に向かって、走った。
・ ・ ・
予想以上にギルドカウンターと、それを擁する酒場『旅立ち亭』はごった返していた。
看板娘でありギルドカウンターを取り仕切る受付嬢のベッキーが声を張り上げながら装備に身を包んだハンターたちに指示と説明を出していた。どうも話を聞く限り、ルーキーギルドは今回の事件‥‥というか災害に対しギルドからの討伐クエストとして在籍ハンターに依頼を出したらしい。
だが問題は、それ以上に数の集まった非武装の一群だった。ウチも、その中に混じってカウンターの向こうにいる男の挙動を固唾を呑んで見守っていた。
非武装の男A 「何故だ!! こんな事態が起っている以上、人手は少しでも多い方がいいに決まってるじゃないか!?」 非武装の男B 「そうだ! こうしてる間にも被害は広がってるんだぞ!? さっさと許可を出しやがれ!!」
ウチを含めた非武装の集団が詰め寄っているのは、ギルドカウンターに座した初老の男だった。ここぞというところで気が弱そうな性格が頭頂部の毛髪の希薄さに繋がっているのだろうか。ひっきりなしに刺繍の施されたハンカチで汗を拭いながら、彼は先刻からと同じ台詞を繰り返して聴かせた。
副ギルドマスター 「じゃから‥‥許可は、出せんのじゃ。何度言えばわかってくれるのかのう‥‥?」 非武装の男B 「フザケんな!! それで納得出来るか!! アンタ、このルーキーがどうなってもいいのか!?」 副ギルドマスター 「何を言うておるんじゃ人聞きの悪い‥‥! ワシの努めは、調査狩猟に出ておる現ギルドマスターの留守を守る事であって、そんな特殊な事例に許可を出せる権限なぞないんじゃ!!
大体じゃな、お主ら一人としてまともに正規のハンターライセンスを持っておらんのじゃろうが‥‥それが無許可でハンターズ工房規格の武具を持ち出してみい! 例えどんな理由があろうとシュレイド近隣諸国から矢のような非難が来るのは目に見えとるじゃろうが‥‥!」
ブツブツと文句を口ごもりながら恨めしそうにウチらを見る副ギルドマスターに、またカウンターの前列の連中が怒り心頭に達して掴みかかる‥‥と、まあさっきからこんなやり取りがずっと繰り返されていた。
正直、ウンザリしてる。それはここに集まった正規ライセンスを持たないみんながみんな、そう思ってるだろう。
西シュレイド王国はこのルーキーを含む南蛮領に多くのモンスターを抱え、それが故に『自衛と生活の為』という名目でハンターズギルド・武器工房はその目的の為に武具開発を行なって来た。 だが人間相手に使えばこれらの武具は常軌を逸した破壊力を生み出す兵器である。それが故に近隣諸国間で対モンスターへの自衛・狩猟のみに限り使用・開発を認めるという特例で辛うじて存在が認められているのだが、ハンターズギルド自体はどの国にも属さない営利互助団体として独立独歩を貫いていても活動域がモンスターの棲息する南蛮領に限られる為に、どうしても西シュレイド王国とどうしても密接に関わる事になってしまっている。
ハンターズギルドの動向と西シュレイド近隣諸国の情勢は常にハンターズギルド上層部の悩みの種になって来ていたのだった。
とは言え、これは半分以上飛竜による災害であり、ウチらは全員一時は正規ライセンスを持つモンスターハンターとして登録していた人間ばかりである。 災害時の緊急対応という事で武具使用の許可が下りてもいいのではないか~というのが言い分な訳だが。
副ギルドマスターは懇々とハンターズギルドと西シュレイド近隣諸国の軋轢について語るばかりで首を縦には振らなかった。
ここでこれ以上進まない論議を重ねていてもしょうがない。ウチは酒場から踵を返そうとして‥‥はたと肩を叩かれた。
ETSUHA 「‥‥何」 男A 「アンタ、ギルドの武具の使用許可もなしにどうするつもりだ?」 ETSUHA 「‥‥工房謹製の武具だからマズいんでしょ? その辺で衛兵さんから借りて狩りに出るわ。ないよりマシでしょ」
実際、そのつもりだった。 確か聞いた話では詰め所の衛兵隊も紅黒龍"ミラバルカン"の襲来時被害を受け、人員が不足しているとか。それなら装備ぐらい余ってるだろう、というのがウチの考えだった。
しかしウチのその態度を見ると、男は破顔してバンバン背中を叩いてきた。一瞬息が止まる。
男A 「なかなか目の付け所がいいな! 実は俺たちもそう思って‥‥」
男はそう言ってウチを酒場の隅に引っ張ると、ゴテゴテに中身の詰まった麻袋から緑色に染め抜かれた外套と、鋼鉄製のランスやサーベル、折りたたまれたボウガンを取り出して見せた。 反射的にギルドカウンターを振り返ったが、この男の仲間や他にも連れてこられた人間が人垣を作っていて、副ギルドマスターの姿は見えなかった。 ウチが何を危惧しているのか察して、男が口元を歪める。
男A 「あのオッサンは何も知らんさ。知ってたって、止める権利もない。 これは俺がルーキーの衛兵隊詰め所にいるダチに頼んで助っ人って形で装備一式を借りてきたんだ。 地方の一部隊とは言え西シュレイド王国南蛮警護団の管轄だからな、ハンターズギルドからは何も言われる心配はねえ!!」
男の力強い声に、人垣が大きくざわめいた。
‥‥確かに、これなら副ギルドマスターの方針に従う事なく武具を取り回せる。
ウチは鎖帷子と外套を手に取って、男に向かって突き出した。
ETSUHA 「面白いじゃない、ウチは大剣使いのエツハ。一口乗らせてもらうわ」 男 「そうこなくちゃな! 他にも一緒にやりたい奴はいないか!?」
急に、酒場に勢いづいた活気が沸き上がった。 戻る このシリーズの一覧に戻る モンスターハンター日記一覧へ戻る
■第9話-APart■
『Of course yet till dawn』 ~(熱中)~●あらすじ● 村に帰ったヘタレ剣士ETSUHAを待っていたのは老獪な村長が用意した奇天烈新人Kannoeだった! 村長からの命令でミナガルデ型城塞都市"ルーキー"にやってきた二人。 一人での狩り初日、酒場でうまくパーティに拾われたKannoeは見事毒怪鳥"ゲリョス"の討伐に成功。ビギナーズラックでレアアイテム"ライトクリスタル"を手に入れ、更なる狩りへと向かった。
沼から離れたアタシたちが向かったのは、ルーキーの派遣カウンターって言うトコロ。街道のあちこちの宿場に設置してあって、ここに来れば各城塞都市のギルドカウンターと同じように仕事の報酬がもらえたり、仕事の斡旋を受けられたりするんだって('-'*) まあ近いしルーキーまで戻っても良かったんだけど、せっかくだから次の狩り場に向かいながら、途中で手続きした方が面倒が少なくていいよねーって話になったのね^^
うわー、詳しい人がいてくれて助かっちゃった。こんな便利なモノもあるんだなー。
次にアタシたちが受けたのは、『幻の黄金魚を探せ!』っていうクエスト。 さっきまでみたいな○○を倒せ~!!っていう討伐クエストじゃなくて、目的の品物を狩り場から集めて届けるのが目的になる採集クエストになるのね。 つまりその名前の通り、釣りをして黄金魚を集めてくればOK!d('-^*)
‥‥でもアタシ、釣り苦手なんだけどなぁ(´Д `;)
・ ・ ・
とは言ってもやっぱり持つべき者は仲間♪ みんなで1匹ずつ釣ったらあっと言う間に4匹集まっちゃったw 途中で麻痺二足小竜"ゲネポス"の牙も集まったんで、報酬のお金を使って工房で作っちゃいました!
麻痺片手剣"ヴァイパーバイト"!!
でも工房も、城塞都市の本工房から独立した武器職人の人が出張所持ってるんだねー('-'*) アタシたちが寄った密林の近くの派遣カウンターの職人さんは、結構アタシと年の近いお兄さんだった。あの年で工房持てるなんて、スゴイよね。アタシも頑張って早く一人前のハンターになんないと!^^
・ ・ ・
次のお仕事は火山地帯! 暑ッいー!(゚Д゚;) 今度の仕事ではまた討伐クエストで、毒二足小竜"イーオス"の群れの長。 "ドスイーオス"を3頭狩るのが目的。ま、この火山地帯フィールドをねぐらにしてる群れを1つ駆除しろって事だよね('-'*)
でも本命はそっちじゃなくって、採掘!!
火山地帯フィールドはそもそも良質の鉱石を沢山産出するので有名なんだって! だから今までアタシたちが村の近くの採掘ポイントで掘るのに苦労してた鉄鉱石、大地の結晶、マカライト鉱石なんかの鉱石類はモチロン、中にはここでしか手に入らないモノもあるんだって!!
早速持てる限りのピッケル買い込んで‥‥お金なくなっちゃったけど(´Д `;)‥‥掘ってきました!!
うそっ、これ!?Σ(ノ゚Д゚;)ノ
錆びた塊、ゲットー!!(≧∇≦)ノシ
何か、これずーーーーーっと昔、この辺で栄えてた国のハンターが使ってた武器なんだって。うまく錆を落とせれば今でも十分使えて、しかもそこいらの武器より強い!!
う、うーん‥‥スゴイもの手に入れちゃった‥‥(´∇ `* )
あ、モチロン、ドスイーオスもキッチリ狩り倒したよ!d('-^*)
毒を何回か食らっちゃったけど、ヴァイパーバイトで麻痺にもさせられたし! ビクッビクッってケイレンしてたw^^
これでまた少しお金も素材も入ったし、まだまだ狩るぞーっ!!(≧∇≦)ノシ
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■第9話■
『The longest day of Rookie』 ~(最も長い一日)~●あらすじ● 村に帰ったヘタレ剣士ETSUHAを待っていたのは老獪な村長が用意した奇天烈新人Kannoeだった! 村長からの命令でミナガルデ型城塞都市"ルーキー"にやってきた二人。 ETSUHAとKannoeは別行動を取る事になったが‥‥。 Kannoeは酒場で出会ったパーティと共に初めての狩りを満喫し、ETSUHAは久々の休みに戸惑う中、突如現れた雄火竜"リオレウス"の群れに襲われる。
異様な光景だった。堅く城門を閉ざしたルーキーの街を、上空から紅の鱗を纏った巨大な飛竜たちが次々と火焔の吐息を吹きかけて内側から焼き焦がしていく。 まるで人々は自ら彼ら飛竜族の料理する大きな竈に身を委ねているようなものだった。
怒号と悲鳴が飛び交い、詰め所から衛兵たちが飛び出していく。火の手を挙げた市街区は女子供と老人たちの逃げ惑う恐慌の坩堝と化し、しかしそれでも城門は閉ざされたまま紙片1枚通る隙間も見せない。
そんな中、ギルドカウンターを擁する酒場『旅立ち亭』は、未だ沈黙を貫いていた。
A-Part『~Kannoe篇~』
B-Part『~ETSUHA篇~』
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■第8話-BPart■
『Boring of freedom』
~(自由のはじまり)~ ●あらすじ● 村に帰ったヘタレ剣士ETSUHAを待っていたのは老獪な村長が用意した奇天烈新人Kannoeだった! 村長からの命令でミナガルデ型城塞都市"ルーキー"にやってきた二人。 ETSUHAとKannoeは別行動を取る事になったが‥‥。
ああ‥‥よく寝た。こんなに何の制約もなくぐっすり寝られたのって何ヶ月‥‥や、何年ぶりだろ? 酒場で買った昼食を広場で食べながら、ウチは昼下がりのルーキーをぼんやり眺めていた。
ふう。
唐突に久しぶりの休みが降って沸いて、何をしようかとか、実は結構悩む。
このフィッシュフライのサンドイッチとポテトサラダの昼食も、正直いつもの癖で酒場に行ってしまってから、ついででベッキーに頼んだのだ。
とは言え‥‥これから何しよう?
しかし、こうして眺めて見るとルーキーの街は思った以上に‥‥寂れてる。
数ヶ月前南東の火山地帯に来襲し、ルーキーを含めこの地域周辺の都市をことごとく恐慌に陥れた紅黒龍・ミラバルカンの猛威。
地方の城塞都市が総出でハンターを送り込み、結果西シュレイド王国は事なきを得たものの、数百の正規ハンターが負傷。事実上2カ所のギルドが機能停止する惨事に至っている。
ルーキーはまだ機能停止した他の城塞都市に比べれば、正常に機能していると言ってもいいんだろうけど‥‥。
それでも、依頼を受けてクエストに出ているハンターの数。酒場の賑わい。武器工房の稼働の様子など、街から受ける印象そのものは事件前のそれとは比べるべくもない。
昼食を取って、ウチはその脚を広場から続く武器工房へ向けた。久々に工房を取り仕切る三爺に会っておくのもいいかもしれない、と思ったのだ。
ETSUHA 「お久しぶりー、三爺。いないの?」
ウチが薄暗い工房に声をかけると、奥からのっそりと小さな影が姿を現した。
鉄爺 「何じゃ、エツハか。久しいのぉ」 ETSUHA 「久々に休みが取れたんで、ちょっとね。やっぱり工房も寂れてるの?」 鉄爺 「バカ言っちゃいかん! ‥‥と、言いたいが‥‥活動するハンターの数が足りんからの。武器防具も使う人間がおらにゃ宝の持ち腐れじゃ」
小柄な竜人の鉄爺はそう言うと、ついていた杖で苛立たしげに空っぽの金床を叩いた。
ETSUHA 「それにしても‥‥みんながみんな、あの事件でやられたワケじゃないでしょうに」 鉄爺 「いやぁ、違うわいな。ルーキーの連中はほとんど新種の為に山岳地帯に調査狩猟に出てるんじゃよ」 ETSUHA 「新種の調査?」 鉄爺 「おお。まだ見た事もない新種が出たって報告があってな、ギルドマスター直々に調査するんだと。 ‥‥まあ、新しい素材にそれを使った武具の開発となれば‥‥ギルド間の利権争いにも一歩先んじられるからの」
鉄爺は最後にそう、小声で漏らした。
工房で鉄爺と別れると、ウチはまた広場まで戻った。
ETSUHA 「‥‥?」
飛竜の鳴き声‥‥? いや、でもこんな街の付近で聞こえるワケが‥‥。
バサッ!!
その時、一瞬の影が広場を過ぎった。
そして‥‥灼熱。爆炎が噴水を砕き、木の葉のように人を吹き飛ばす。 受け身を取る事も出来ず石畳に叩きつけられたウチの目に映ったのは、ルーキーの上空を幾つも飛び交う、見慣れたシルエットの群れだった。
ETUHA 「‥‥雄火竜"リオレウス"‥‥!?」 戻る このシリーズの一覧に戻る モンスターハンター日記一覧へ戻る
■第8話-APart■
『Let us together!』
~(希望の旅立ち)~●あらすじ● 村に帰ったヘタレ剣士ETSUHAを待っていたのは老獪な村長が用意した奇天烈新人Kannoeだった! 村長からの命令でミナガルデ型城塞都市"ルーキー"にやってきた二人。 ETSUHAとKannoeは別行動を取る事になったが‥‥。
こんにちは! 初めまして。
アタシはカンノエって言います。よろしくね!
この間ウチのじーちゃん‥‥じゃないや、ナギ村の村長から仮の資格をもらったばっかりのモンスターハンターをやってます。
今いるのは、ナギ村から馬車で5日ぐらいのこの辺で一番大きな街、"ルーキー"。
エツハさんが言うには、この国にはこんな大っきな街がいっぱいあって、それはみんなここと同じような石の壁に囲われた街なんだって。モンスターが入ってこないようにするのはわかるけど、こんなにデッかいのにグルグル巻きにされてたらみんな息が詰まりそうだよねぇw
あ、そうそう。
エツハさんっていうのは、アタシのセンセーです。 昔ナギ村でじーちゃ‥‥村長に資格をもらったモンスターハンターだったらしいんだけど、ナギ村の出身じゃなくて何処かの街でお勉強をしてた人なんだって村のおばちゃんが言ってた('-'*) よくわかんないけど。
アタシから見ると‥‥('-'*)
・ ・ ・
うん、いい‥‥センセーだよ?^^; ‥‥たまにものすッごいゲンコツで叩かれるの怖いけど‥‥(;-;*)
で、今アタシは一人で宿に泊まってます。 ハンターギルドっていうところがやってるゲストハウスって宿なんだって('-'*) ‥‥何か馬小屋みたいに見えるけど、タダなんだからしょーがないか‥‥。 一応ごはんも食べさせてくれるしねー♪^^
そー。今アタシ貧血‥‥じゃないや、金欠?なんだー。 じーちゃんに言われて作らなきゃいけない武器があってー、何かどんどん改造してやっと出来上がるんだって。
はぁ‥‥(ーД`ー;)
一応蛇剣"サーペントバイト"っていうのまでは作れたけど、作らなきゃいけない麻痺剣"ヴァイパーバイト改"は後2段階先。
ここからは作るのに必要な素材集めるのに、狩りに行かなくちゃだねー!('-'*)
・ ・ ・
昨日晩ごはんを食べた酒場に行ってみたら、エツハさんはもう出かけた後だって。ありゃー‥‥残念(-_-*) まあでも「一人で行って来い!甘えんなボケ新人!!ヽ(`Д´)ノ=3」って言ってたから、挨拶なんかしてたらぶっ叩かれてたかなぁ^^;
その時はまだ時間も早かったし誰もいなかったけど、酒場とギルドのカウンターと両方でお仕事してるベッキーさんは待ってたらすぐ誰か来るよって教えてくれました。 ‥‥そう言えば途中で「ベッキーおばちゃん」、って言いかけたら笑ってたけど凄く怖い感じがした(゚Д゚;)
何かエツハさんに似てる‥‥(゚Д゚;)
・ ・ ・
誰も来ないんでベッキーおば‥‥お姉ちゃんに聞いてみたら、近くの狩り場(フィールド)なら行っても大丈夫かなって言われたんでその日はギルドの人に案内してもらって森と丘フィールドで生肉を集めてくるクエストだけ済ませた。
夕方ぐらいに街に帰ると、今度は人が来てたぁ♪ヽ(*゚∇ ゚*)ノ
「街来るの初めてでー」って言ったらみんな笑ってた。怖いトコじゃないから大丈夫、だってさ。 子供じゃないやい!ヽ(`Д´)ノ=3
でも、その日の内にアタシたちは狩りに出たんだ!(゚∀゚)
一応何処でも連れてってくれるって話だったんだけど、まずはアタシ"ヴァイパーバイト"作んなきゃって話をしたら沼地に行く事に。村の周りではまだ行った事ないから楽しみw(゚∀゚)
・ ・ ・
次の日の朝、沼地フィールドでアタシたちが狩る事になったのは、毒怪鳥"ゲリョス"って飛竜だった(゚Д゚)
カタチは前に狩った怪鳥"イャンクック"に似てるんだけど‥‥なんか、
変(゚Д゚)
体の表面が鱗じゃなくて‥‥なんかブヨンブヨンした皮で、頭とクチバシの先が出っ張ってて‥‥(゚Д゚) 後で一緒に行った人に聞いたら、頭のは強く叩くと物凄ッい光が出て、目眩ましになるんだって。閃光玉みたいなもんだね。
ゲリョスは体からそんな結晶が出て来る事がたまにあって、うまくいけばちょっと大きな塊も取れるんだって言ってた。ライトクリスタルとか言うらしい('-'*)
「お金になるの?」って聞いたら嬉しそうにうなずいてた。みんなゲンキンだねw^^;
で、実際の狩りはと言うと。
アタシは何とか沼の色んなところに棲んでる麻痺2足小竜"ゲネポス"が"ヴァイパーバイト"に必要な素材剥げる相手だったから、そっちばっかり狩ってた^^;
でも‥‥。
何かみんなで行く狩りって、全然違う('-'*)
一人だと、自分が攻撃して倒せないとどうしようもないけど、みんながいればそれぞれ
「ダメージを与える人」 「毒や麻痺にさせる人」 「勝って帰った時の素材用に飛竜の各箇所を壊す人」 「罠を仕掛ける人」
って感じで分担が出来るんだねー!('-'*)
残念ながら、アタシの"アサシンカリンガ"じゃ、役に立ってるのかどうかよくわかんないぐらいだけどね‥‥っ。・゚・(ノД`)・゚・。
ちなみに運が良かったのかゲリョスの体からはライトクリスタルが2つも取れて、それはアタシがもらって帰る事になりました。
わーいヽ(*゚∇ ゚*)ノ
いいのかな?w でもキレイだししばらくは部屋に飾っとくつもりです^^w 戻る このシリーズの一覧に戻る モンスターハンター日記一覧へ戻る
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